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【書評】火花〜お笑い芸人・又吉直樹さんの「笑い」を追究した小説〜

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こんにちは。
当ページにアクセスしてくださり、ありがとうございます。

本の紹介記事になります。

2017年に出版された本になりますが、

 

火花

著者:又吉 直樹(またよし なおき)さん

出版社:文藝春秋(ぶんげいしゅんじゅう)

分類:日本文学

【目次】

 

1.著者の紹介

著者は、みなさんご存知かと思いますが、人気お笑いコンビ「ピース」ボケ担当の又吉 直樹さんです。

今となっては、有名なお笑い芸人・又吉さんですが、有名になるまでの道のりは長く険しいものでした。

 

比較的貧しい家庭で育ち、家族で焼肉店に食事に行っても「焼肉2枚でお腹一杯だから」と母や祖父が無理をして子供たちに食事を譲り、子供たちもそれを分かっていて親に「お茶漬けでお腹一杯」と食事を譲る、といった生活をしていた、と本人は語っている。

 

そして、活字が踊り出す夢を見るほどの大の読者家で、好きな作家として、太宰治、芥川龍之介、古井由吉、京極夏彦、中村文則、田丸雅智などを挙げています。 

 

また、携帯の待ち受け画面は太宰治にしているほどです。

 

このように大好きな読書、そしてお笑い芸人として仕事をする傍ら、書き出した小説「火花」。この本で、お笑い芸人としては史上初の快挙である、芥川賞を受賞しました。

 

お笑い芸人と聞くと、リスクが高い、売れない時が長い・・・などなどマイナスのイメージが強い印象ですが、そんなリスクを乗り越えてこそ、本物の漫才師になれるんだとこの本に込めています。

 

また、この本の後に「劇場」も執筆・出版されています。

 

2.あらすじ

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売れない若手お笑い芸人・徳永(主人公)は、あるお祭りのライブでの舞台の最中、先輩芸人・神谷という人物に出会う。

 

その出会いから先輩神谷の「漫才師」に対する高い理想・考えを聞き、徐々に神谷という人物に惹かれ、弟子入りを志願する。

 

そこから神谷と過ごす日々が始まり、弟子入りの条件として頼まれた神谷の伝記を書きながら、神谷という人柄を知っていく。

 

漫才師である以上、どんな時でも漫才師である。

 

神谷が信条としている言葉、徳永にとって理解しがたい考えもあるが、それらも含め全て「漫才師」だとという事を知る。

 

神谷は次第に借金を大きく膨らませてしまうが、それでも徳永に漫才師についてもっと知ってもらいたいという情熱、そして自分は「どんな時でも」漫才師である事を貫く姿勢から、徳永にとって先輩神谷がいかに大きな存在であるか、また追いつきたくても追いつけない存在なのか思い知らされる。

 

そんな若手お笑い芸人の日常、そして苦悩・葛藤を描きつつ、漫才師という職人を追究する物語。

 

映画化・ドラマ化もされた、第150回芥川賞受賞作品です。

 

3.この本の魅力

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本のタイトルになっている「火花」からどういった内容か想像もつかないかもですが、あらすじで紹介したように、これから漫才師として活躍していく若手お笑い芸人たちを描いた物語です。

 

どんな時でも「漫才師」であろうとする、芸人たちの生き様

 

そして又吉さん自身、「お笑い芸人」なので、この物語で出てくる登場人物たちを自分自身に見立てて、物語を書いていったのではないかと思います。

 

徳永と神谷の会話の中で、ちょっとした漫才が繰り広げられている場面もありますし。中々面白いやりとりもありましたね。

 

さすがお笑い芸人が書いただけの事はあるなと感心させられました。このように、実際のお笑い芸人の日常をこの本から垣間見ることが出来ます。 

お笑い芸人とは、

 

  • 日々何を考え
  • 漫才に対して、どういう理想を描いているのか

 

この登場人物たちのプライベート及び、仕事での思考もこの本で見ることが出来ます。

 

少なくともお笑い芸人を目指していない私のような者にとっては、もちろん新鮮な物語でしたね。

 

また、私の中ですごく印象に残った文章がありましたので、4.まとめで紹介させて頂きます。

 

4.まとめ

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最後になりますが、この本の中で私が印象に残った文章があります。

 

必要がないことを長い時間をかけてやり続けることは怖いだろう?一度しかない人生において、結果が全く出ないかもしれないことに挑戦するのは怖いだろう?

 

無駄なことを排除するということは、危険を回避するということだ。臆病でも、勘違いでも、救いようのない馬鹿でもいい、リスクだらけの舞台に立ち、常識を覆すことに全力で挑める者だけが漫才師になれるのだ。

 

漫才師だけでなく、自分がこれから「本気で」打ち込もうと考えている全ての事に言えますよね。本気で打ち込むには、相当の覚悟をもって打ち込むべきだという事です。

 

それくらいの覚悟があると、恐らく周りからは理解してもらえないかもですが、それでも自分の信じた道は突き進めという事ではないでしょうか。

 

極論、自分を分かっているのは「自分」しかいませんので。 私にとっては、すごく勇気づけられた文章でした。

 

またこの本を通してぜひ、漫才師という職人たちの日々の考え・行動を、垣間見てはいかがでしょうか。

 

漫才師ではなくとも必ずどこかに、読んだ人の心に通じるところがあると思います。

 

拙い文章ですが、参考になれば幸いです。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。